あえていま、魯迅を読もうと訴えたい。 魯迅は社会を痛烈に批判した小説を口語で発表して「中国近代文学の父」と讃えられている。列強国の支配に異議を唱えた「五・四」運動の精神を導く先駆者として尊敬を集めた。 代表作「阿Q正伝」「狂人日記」「故郷」などが収録されている作品集「吶喊」を執筆したのは1918年から22年にかけてのことだ。当時、中国では辛亥革命が挫折し、中央政府はないも同然で、軍閥が群雄割拠していた。さらに、イギリス、ドイツ、日本など外国勢力の侵犯に対して、国内の勢力が団結して対抗することもできなかった。おそらく絶望的な空気が世の中を支配していたことは容易に想像できる。 自分をも断罪するという切迫感 「阿Q正伝」は辛亥革命と、それについていけない無知蒙昧な民衆を辛辣に描いている。とりわけ、どうしようもなく自尊心のない阿Qという人間の一挙一動を描写する。 阿Qは他人に殴られても、怒ったり悲
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