はじめに 1990年代後半、ヨー口ッパでは社会民主主義を標榜する政党が相次いで政権に復帰するという動きが見られた。96年イ夕リアの 「オリーブの木」政権、97年イギリスのブレア政権、同年フランスのジョスパン政権、 98年ドイツのシュレーダー政権などがそうである。社会民主主義あるいは中道左派は、それ以来比較的安定 した力を示し──たとえばイギリスのニュー・レイバーは2001年総選挙でも保守党に圧勝した──、70年代末から続いたネオリべラリズムの時代に終止符を打ったかのようにも見える。しかし、このように社会民主主義が政権を取り戻したということは、それが思想的にも再生したということを意味するだろうか*1。 周知のように、T・ブレアやG・シュレーダーの掲げる「第三の道」あるいは「新しい中道」がサッチャーやコールの時代のネオリべラリズムとどれほど異なっているかについては、すでに多くの疑念が提起されて