ERB評論集 Criticsisms for ERB 野田昌宏「勢揃いバロウズ一家」 ハヤカワ文庫JA「SF英雄群像」より Feb.1969 誰しも“火星人”という言葉を聞いてまず思いつくのは、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』の中で地球に押しよせてくる例の蛸のお化けみたいなやつの姿ではないかと思う。ことほどさように『宇宙戦争』のイメージは我々にとって強烈なものがある。 その次は“クイム”とかいう能力をそなえた緑色の小人――いうまでもなく、F・ブラウンの『火星人ゴーホーム』に出てくる火星人。そしてその次は、アーサー・C・クラークの『火星の砂』に出てくるチューチューというところか、いずれにしてもすぐに軟体動物か爬虫類の類いを連想してしまう。日本ではまだあまり知られていないが、フランク・R・パウルとヒューゴー・ガーンズバックのコンビでおなじみになっている火星人も、知能はかなり高いのだが、やはりゲソ