「ねぇ先輩。改めて思ったんですが,『オブジェクト』ってそんなすごいことなんですか」 「自分だって使ってるじゃない。この間なんて,『クラスがないなんて,考えもつかない』とか言ってたのはどこの誰だよ」 「でも,そのどこがすごいのかわかんないです」 「ふーむ。じゃあ簡単に。大きくは二つあるかな。分割統治と,モデルの作りやすさ」 「分割統治?」 「影響の範囲はとにかく絞り込め,さ」 1981年に米BYTE誌がSmalltalk-80を紹介したのが,おそらくオブジェクト指向が研究室を飛び出した最初だろう注1)。それ以来,20年以上の月日が流れた。ようやくここ数年,「オブジェクト指向」という概念が当たり前に使われる存在となってきた。しかしここまで普及するにはかなりの時間がかかった。 当初オブジェクト指向の“メリット”として強調されていたのは,再利用に伴う生産性の高さである。オブジェクト指向の三つの礎石
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