読み物シリーズ シリーズ ヨモヤモバナシ 新河岸川の舟運と川舟の便所 △講話者 松田 旭正 * コーディネーター 地田 修一(日本下水文化研究会会員) 1.新河岸川の舟運のはじまり 新河岸川は江戸初期から昭和初期まで江戸と川越を結び,300年間舟運は物質輸送に重要な役割を果たしてきた。仙波東照宮が寛永15年(1647)に焼失し,再建の資材を舟で新河岸川を利用して運んだのが始まりと云われている。本格的に舟運が行われるようになったのは,川越藩主・松平信綱の時代「正保元年(1644)又は寛文二年(1662)」とも云われ河岸場(船着場)が点在し,回漕問屋を中心に繁栄した。「新編武蔵風土記稿」 2.関東地方の舟運と荒川 上越国境の山々から流れ出た水は,関東平野で多くの支川を集めて太平洋に注いでいる。 関東は,大河川の利根川と荒川を幹川として,中小の河川は枝として流れ込み,これらの河川を利用し,大消費