「時間を守る」ということは、社会人としての常識の基本中の基本である。 しかし、Wikipediaの時計の歴史によると、ゼンマイが発明されて時計が携帯できるようになったのは、1500年頃だ。そんな時代に「時間を守れ」と言ったら、「そんなこと絶対不可能」と思っただろう。いや、まず「時計」なんてものを見たこともなくて、「時間を守れ」という倫理が何を意味しているか理解不能な人が大半だったはずだ。そして多少は意味が通じるようになっても、時計なんて高価なものを買えるのはごく一部の特殊な人であり、性格が良くて勤勉でも「時間を守らない」だけで人が失業するなんて時代が来るとはとても想像できなかっただろう。 「時間を守る」という概念が一般化したのは産業革命以降のことである。大勢の人が工場で生産活動をするようになってはじめて、そういうことが一般人に要請され、同時に、その気になれば時間を守ることができるようになっ