福田首相の後継として麻生太郎氏が本命らしいが、私は彼が首相になることには反対だ。その理由は、彼が地底人を経済顧問にしているからだ。リチャード・クー氏は「不況のときは、戦艦大和でも何でもいいから巨額のバラマキをやれ」という、半世紀以上前の素朴ケインズ主義をいまだにとなえている。こんな政策をとったら、日本経済も財政も破綻することは明らかだ。 同じ理由で、いま政府がやろうとしている「総合経済対策」も税金の浪費である。今週の『週刊東洋経済』の「不確実性の経済学」特集(私も原稿を2本書いた)で、小島寛之氏も書いているように、こうした時間非整合的な政策は、消費者の期待形成や企業の戦略を混乱させ、結果的には何もしないのと同じことになる(インフレだけが残る)。最近の経済学が明らかにしたように、消費者や企業の行動を決めるもっとも重要な要因は心理だから、それを勘案しないで物量だけで経済が動くと考えるのは時代