元号は東アジアの漢字文化圏に特有の制度だ。世界を見渡せば、時間を計る尺度として西暦やイスラム暦、仏暦などが広く使われている。これらは君主の交代などで改元する元号とは異なり、宗教的指導者の死去などを基点に一列の数字で年を数える紀年法だ。 元号は紀元前2世紀、中国・前漢の武帝が定めた「建元」が最古とされる。中国の歴代王朝が定めたほか、漢字などの中国文化の広がりとともに、朝鮮半島などの周辺諸国でも用いられた。朝鮮半島などでは経済的な利益を求めて主に中国の元号を使ったが、日本やベトナムのように独自の元号を定める国もあった。日本の元号は、近現代に至る国づくりが中国からの影響を受けながら、一定の距離のもとに独立と統一を果たしてきたことも示す。 日本では、645年の「大化」に始まるとされる。権勢をふるった蘇我入鹿を中大兄皇子(後の天智天皇)らが殺害した事件を受けて、皇極天皇(天智・天武天皇の母)が史上初
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