「若き日の家康」は何を考え、何を学んで天下人となったのかを論じた、国際日本文化研究センター教授・磯田道史氏による「わが徳川家康論」(「文藝春秋」2022年11月号)を一部転載します。 ◆◆◆ はじめから天下取りの意欲を持っていたとは…… 2023年のNHK大河ドラマは『どうする家康』。主人公は徳川家康です。戦国の世を終わらせ、長い平和をもたらした家康の人間味には、私も日本史の研究者として興味があり、4年ほど、彼の旧領であった浜松に移住してみて、その生涯の細部を調べたほどです。 これまでにも多くの小説家、歴史家が家康の生涯を描いていますが、そうした従来の家康像、ことに若き日の家康の描き方には、あるパターンが見られます。それは「天下人」になった偉人・家康の萌芽を少年期、青年期に見出す、というものです。ゴールから逆算する人物論です。 たとえば今川義元に人質に取られていた少年時代、今川の屋敷で新年
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