ぽつりぽつりと子ども時代を振り返る姿は、鋭い舌鋒(ぜっぽう)で政権批判を繰り広げる政治家のイメージとはかけ離れていた。ひっくり返ったちゃぶ台に割れた茶わん。最も幼いころの記憶は、暴力を振るおうとする父親を止めようと、大きな膝にしがみついた自身の姿だ。開会中の通常国会で、政府はドメスティックバイオレンス(DV)防止法改正案を提出する。自らの経験を重ねた法案への思いとは――。【菅野蘭】 DV防止法は2001年4月に成立した。それまで、家庭内で起きるDV行為は「夫婦げんか」として扱われることが多く、警察の介入が難しかった。4度目となる今回の改正案では、被害者への接近などを禁じる裁判所の「保護命令」の対象を、身体的DVだけでなく「精神的DV」にも拡大する。 DV法改正について、被害者らの思いを3回にわたりお届けします。ラインアップは次の通りです。 第1回 被害者が今思う、精神的DVとは 第2回 D
岸田文雄首相が27日の参院本会議で、賃金上昇やキャリアアップに向け、産休・育休中のリスキリング(学び直し)を「後押しする」と答弁した。これに対し、SNS(ネット交流サービス)では「育児してない人の発想」「オッサン政権」などの痛烈な批判が広がった。28日には「リスキリング」「産休・育休中」の言葉がツイッターのトレンド入りした。 参院本会議の代表質問で、自民党の大家敏志議員が「産休・育休中のリスキリングによって、一定のスキルを身につけたり、学位を取ったりする人々を支援できれば、子育てによるキャリアの停滞を最小限にし、逆にキャリアアップが可能になることも考えられる」と指摘。「リスキリングと産休・育休を結びつける企業を国が支援すれば、親が元気と勇気をもらい、子育てにも仕事にも前向きになれる」と提案した。
鑑定留置のため移送される山上徹也容疑者=奈良市の奈良西署で2022年7月25日午前10時14分、滝川大貴撮影 社会から隔離された場所で何を思っているのだろうか。昨夏、参院選のさなかに安倍晋三元首相(当時67歳)を銃撃し殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(42)。大阪拘置所(大阪市都島区)で鑑定留置中だが、関係者によると、一部の親族と面会を続けてきた。「統一教会のことばかり聞かれて、もううんざりだ」。精神科医から繰り返される聞き取りに不満を漏らす一方、親族を気遣う一面も見せているという。戦後史に刻まれた事件は、8日で発生から半年となる。 山上容疑者は2022年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅北口で安倍氏を背後から銃撃したとして、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。安倍氏は同日夕に死亡。奈良県警は山上容疑者を殺人容疑で送検した。奈良地検は7月25日から始まった鑑定留置で精神科医に
2015年に東京都内の郵便局で働いていた30代女性が勤務中、上司の男性から業務用ガムテープを口に貼られるなどしたショックで精神疾患になり退職を余儀なくされたとして、男性と日本郵便に計1712万円の損害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁玉名支部が両者に計195万円の支払いを命じる判決を言い渡していたことが判明した。6月29日付。12月21日にあった控訴審判決で、福岡高裁(梅本圭一郎裁判長)は1審判決を支持し、賠償額を計259万円に引き上げた。 高裁判決などによると、女性は期間雇用社員で窓口業務などを担当していた。15年11月12日夕方、窓口で会計作業をしていた女性の背後から、上司の男性が梱包(こんぽう)用のガムテープを女性の口に貼り、はがした。女性はけがをしたなどと訴えたが、男性は「レモン、付けようか」などと答えるだけだった。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が1989(平成元)年に韓国で行った説教で、自民党の安倍晋太郎元外相が当時会長を務めていた保守系派閥「安倍派」(清和会)を中心に国会議員との関係強化を図るよう信者に語っていた。約53年分にわたり韓国語で記された文氏の発言録615巻の中から毎日新聞が当該部分の記述を翻訳・確認し、判明した。【田中裕之、ソウル坂口裕彦、渋江千春】 韓国語版のみ全615巻の発言録 晋太郎氏の息子で、今年7月の銃撃事件で凶弾に倒れた安倍晋三元首相がいつ、どのように教団と深い関わりを持ったかについてはなお謎が多い。晋太郎氏の義父・岸信介元首相と文氏との間で築かれた関係が源流にあるとされるが、その後を継いだ晋太郎氏を足掛かりにした教団の政界工作が、教祖の肝いりで模索されていた可能性が浮かんだ。 発言録は、韓国の教団系出版社「成和出版社(現・天苑社)」
杉田水脈衆院議員への訴訟で逆転勝訴の判決言い渡し後、記者の囲み取材に心境を語る伊藤詩織さん(左から2人目)=東京都千代田区で2022年10月20日午後1時52分、幾島健太郎撮影 ツイッターで自身を中傷する投稿に「いいね」を押されて名誉感情を侵害されたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(石井浩裁判長)は20日、賠償責任を否定した1審・東京地裁判決(今年3月)を変更し、杉田議員に55万円の賠償を命じた。 1審判決によると、元TBS記者の男性から2015年4月に性暴力を受けたと訴える伊藤さんに対し、「枕営業の失敗」などとする複数の匿名の投稿がされた。杉田議員は18年6~7月、こうした投稿25件に「いいね」を押した。
アムウェイが契約した会員に配布した資料など=東京都内で2022年10月14日午後2時40分、藤沢美由紀撮影 消費者庁は14日、「日本アムウェイ合同会社」(東京都渋谷区)に対し、連鎖販売取引(マルチ商法)について社名や目的を言わずに勧誘したことなどが特定商取引法違反に当たるとして、6カ月の取引停止命令と、再発防止策を講じることなどを求める「指示処分」を出した。同社への行政処分は初めて。 この処分で連鎖販売取引についての勧誘や契約などが禁じられるが、会員同士の売買は可能だ。 同庁によると、社名や目的を言わずに勧誘した▽目的を告げずに誘った相手を密室に連れ込んで勧誘した▽相手の意向を無視して一方的に勧誘した▽契約締結前に書面を交付しなかった――という4種類の違反を確認したという。
陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元1等陸士、五ノ井里奈さん(23)が訓練中の性被害を訴えた問題で、防衛省は29日、複数の男性隊員による性暴力の事実が確認されたと明らかにした。防衛省が五ノ井さんの被害を事実と認めるのは初めて。吉田圭秀・陸上幕僚長は29日の定例記者会見で「これまで長く苦痛を受けられている五ノ井さんに対し、陸上自衛隊を代表して深く謝罪申し上げます」と頭を下げた。防衛省は調査を続けており、詳細を確認して関係者の懲戒処分に踏み切る。 調査では、五ノ井さんの同僚だった複数の女性隊員も被害に遭ったことや、加害側の隊員が五ノ井さんに口止めしていたことも判明した。五ノ井さんの所属部隊で「性的発言や身体接触が日常的に公然と行われていた」と指摘。五ノ井さんの被害として、2020年秋に警衛所で勤務中に複数の隊員から体を触られた▽21年6月に訓練で張ったテント内で、隊員から性的な身体接
中学教諭の体罰などについて記者会見で謝罪をする県教委幹部ら=長崎市尾上町で2022年9月27日午後3時7分、松本美緒撮影 女子バレーボール部員への体罰で顧問を外されて体罰防止の講習も受けたのに、同じ部員にまた体罰をしたなどとして、長崎県教委は27日、諫早市立中の男性教諭(25)を停職1カ月の懲戒処分とした。 県教委によると、教諭は女子バレーボール部の顧問だった2021年9月~22年3月、練習中に部員6、7人の顔にボールを押し当てるなどの体罰をした。教諭は顧問から外されて文書訓告の処分を受け、体罰防止の講習を受けた。 しかし、教諭は7月の体育の授業中、他の生徒がハードルをうまく飛べたことを喜んだ部員に「ふざけている」と立腹し、ハードルを蹴って「見学していろ。バレー部をやめろ」と発言。授業後、出席していた別の部員2人を呼び出し「大会が控えているのに、選手としての自覚はあるのか」などと威圧的な指
自民党の茂木敏充幹事長は27日午前の記者会見で、安倍晋三元首相を「国賊」と表現し国葬欠席を表明した同党の村上誠一郎元行政改革担当相の処分を求める声が党内にあることについて、「個々の議員の外部での発言についてコメントすることは控えたい」と述べるにとどめた。そのうえで「同じ仲間としての信頼感や、目上の…
日本外国特派員協会での記者会見に臨む世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長(左)=東京都千代田区で2022年8月10日午後3時1分、猪飼健史撮影 安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に、宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家に関するニュースが相次いでいる。「信教の自由」や「政教分離」といった憲法の観点からどのような問題があるのだろうか。憲法学が専門である九州大の南野森(みなみの・しげる)教授に尋ねると、「難しい憲法上の問題と捉えるべきではないんです」と予想外の答えが返ってきた。【聞き手・佐野格】 ――旧統一教会と政治家に関する問題をどう捉えていますか。 ◆旧統一教会の問題は1980年代から取り沙汰されていて、私が大学に入った89(平成元)年は旧統一教会が盛んに活動していた頃でした。知り合いでしつこく勧誘された人や、入会してしまった人もいて、そういう個人的な経験もあったこと
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く