しかし、ミテキシーをブランコの下まで引きずって行ったベッキーは、唐突に動きを止めてわたしの顔を見た。 「アタシは子供を抱きあげちゃいけないって言われているから、あんたやってよ」 ベッキーは、幼児を抱き上げないようにアニー(レノックス似の託児所責任者)から注意されているのだった。 「なんでアタシは子供を抱っこしちゃいけないんだよ」と食ってかかるベッキーに、「それはあなたに障害があるからです」とアニーがクールに答えるのを耳にしたことがある。 それはあなたに障害があるからです。 とはまた、剃刀シャープな台詞だな。とその時は驚いた。 実際、ベッキー本人も気分を害されたようで、そこら辺の椅子やテーブルを蹴り散らしながら託児所から出て行ったのである。 そのベッキーが、今日は自分から「アタシは子供を抱きあげちゃいけないんだ」と言っている。わたしは彼女の言葉に従ってミテキシーをブランコに乗せ、ゆっくりと押
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