「ちょっと、やりましょうか」。卓球の練習を見守っていた天皇陛下が、ラケットを手に卓球台に向かいました。予定になかった「飛び入り」参戦に、居合わせた人たちからどよめきがあがりました。 相手は、パラリンピックを目指している宿野部拓海(しゅくのべ・たくみ)選手(23)。海外の大会で優勝経験のある実力者です。天皇陛下はスーツの上着を着たまま、宿野部選手と向き合いました。宿野部選手の球を、天皇陛下は着実に打ち返していきます。山なりの球ではなく、低い弾道で速い球のラリーが続きました。 2球目、3球目……。天皇陛下は無駄な動きをせず、どっしりと構えて、相手の球を確実に打ち返すスタイル。真剣な表情の天皇陛下に、宿野部選手もこたえるように激しい球を返します。卓球台のすぐ横で見守っていた皇后さまは、楽しげに笑みを浮かべ、脇にそれた球を拾う場面も。計7球にわたった試合が終わると、会場から大きな拍手があがりました