家計の支出に占める食費の割合を示し、高くなるほど生活は苦しいと言われる「エンゲル係数」が日本で急上昇している。安倍政権の経済政策・アベノミクスが始まった二〇一二年末以降、円安や消費税増税を背景に食品が値上がりしたのに、賃上げが追いつかないためだ。戦後長らく「生活水準」の指標とされたエンゲル係数が、いま再び注目を集める時代になるのか。 (白山泉) ■31年ぶり 昭和の風情を残す東京都葛飾区のアーケード街、立石(たていし)仲見世。総菜店で買い物する主婦(81)は「食品の値段がどんどん上がって生活は苦しいけど、料理が大変だから総菜は買うし、老人会で行く外食も減らせない。家計の中の食費の割合(エンゲル係数)は半分近くというのが実感」と話した。 総務省の家計調査では、今年三月のエンゲル係数(二人以上の世帯の平均)は24・5%。三年前の21・9%から2・6ポイント上がった。 特に、所得が低い層(