参考:『御伽草子』より類話『蛤の草紙』 昔々、ある海辺に、1人の漁夫の男が住んでいた。 ある日、男が漁をしていると、とても大きな蛤が獲れた。男は、この大きさまで育つのは大変だったろうと、蛤を逃がしてやった。 しばらく後、男のもとに美しい娘が現れ、嫁にしてほしいと言う。男の妻となった娘はとても美味しいダシのきいた料理を作り、特に味噌汁が絶品であった。しかし妻は、なぜか料理を作っているところを決して見ないよう、男に堅く約束させた。 しかし男は、どうすればこんなうまいダシがとれるのかと好奇心に負け、ついに妻が料理をしているところを覗いてしまう。何と、妻は鍋の上に跨がって排尿していた。 男は怒って妻を追い出した。妻は海辺で泣いていたが、やがて元の姿を現した。それはかつて男が命を助けた大蛤であった。そして蛤は、海へと帰っていった。 一般には『鶴の恩返し』のように蛤が女に化けたものとされているが、男が