◆◆◆ 国民ひとりあたりのGDPが日本の2.6倍もあるルクセンブルク ――ルクセンブルクというと、ドイツ、フランス、ベルギーに囲まれた小国で、日本人からすると馴染みの薄い地域です。なぜこの国に注目しているのでしょうか? 藻谷 ルクセンブルク大公国は、佐賀県程度の広さで人口は60万人ほどの極小国ですが、国民ひとりあたりのGDP(国内総生産)は10万ドル超、つまり日本の2.6倍以上もある世界一の富裕国です。今から30年ほど前、私がまだ大学生の頃に訪れたときは鉄鋼業の国でした。普通なら、イギリスのバーミンガムのように鉄鋼中心の都市は凋落の一途をたどるはずが、いつの間にかルクセンブルクは金融で浮上した。いまや、ロンドンやフランクフルトに次ぐ、一大金融センターになっているんですね。 ――なぜそんなことが可能になったんでしょうか。 藻谷 不思議ですよね。どこかの本に理由が書かれているのかもしれませんが