現在、栽培されている植物(作物)には、それぞれ“故郷”ともいえると土地がある。栽培植物の起源の地は、世界中に散らばっているのか、それともある程度の土地に集約されるのか。植物のルーツを探ることは、人類史にも関連することであり、これまでたくさんの論文や著書が発表されている。 スイスの植物学者であったド・カンドルは、1883年に『栽培植物の起源』という本を書き、多くの栽培植物の起源地を論じている。個別の作物について現在からみると間違いもあるが、今でも通用するところも多い。ド・カンドルに続いて、旧ソ連の植物学者ニコライ・ヴァヴィロフ(1887〜1943)は、栽培植物の変異の地域差や栽培種とそれに関連する野生種との比較などによって栽培植物を分析することで、栽培植物起源の研究に大きな発展をもたらした。 ヴァヴィロフは、徹底的なフィールドワーカーとして知られ、栽培植物の起源地を探し歩いた。彼はそれまでの
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