イタリアのベネチアは水没しつつあり、オランダのロッテルダムとタイのバンコク、米ニューヨークも同じだ。しかし、そのペースは地球上で最も急速に地盤沈下が進むインドネシアの首都ジャカルタの比ではない。 ジャカルタ市内で最も沈下の激しい地域はここ25年間で16フィート(約4.9メートル)余りも沈んだ。2030年までに解決策を見つけなければ、ジャカルタがジャワ海に飲み込まれるのは不可避だと専門家は予測している。 そこで、アイル・ベルシ・ジャカルタ(ABJ)のオーナーで資産家のアンソニ・サリム氏の出番だ。 政府はABJを通じてジャカルタ市民1100万人に水道水を供給しようとしているが、現時点で市民の3人に1人は水道水を利用できず、代わりに市内に点在する何千もの違法な井戸に頼っている。それが帯水層の枯渇や地盤の弱体化につながり、さらなる沈下を招いている。