企業も政府も「円高恐怖症」に陥っている、モノ作り大国=ニッポン。 中国の台頭と資源高、そしてドル急落が円安依存の産業構造に転換迫る。 サービス産業の活性化を軸に、内需主導型の経済に脱皮する時だ。 「円高で儲かるのだから安くしろ」 ある中堅衣料メーカーの幹部は、そんな小売りからの強引な値下げ圧力の再来に不安を隠せない。恐れているのは「円高還元セール」。1990年代の円高で、百貨店や総合スーパーなどが実施した値下げ競争である。 「我々は円高で享受できるはずの利益を吐き出して、小売りのセールに協力した。それなのに、その後の円安で我々の経営が苦しくなっても、小売りは一切、値段を戻してくれなかった」 この会社は主に中国で生産し、それを日本に輸入して小売店に販売している。原材料の調達や完成品の輸入はドル決済のため、為替相場が円高ドル安になれば利益が増える。過去の円高局面では、そこを小売り側に突かれたの