8月上旬の日曜日、汐見橋線の木津川駅(大阪市西成区)で降りた。古びた白い駅舎は無人。外にでると、舗装していない砂利道が延び、さびの目立つトタン板の工場が目の前に現れた。コンビニエンスストアなどはなく、人の姿も見当たらない。さながら都会の秘境のようだった。 汐見橋線は高野線の一部で汐見橋―岸里玉出駅を運行する。木津川駅はかつて貨物駅として使われ、和歌山で伐採した木材を鉄道で輸送し、ここから貯木場に運んだ。だが貯木場の廃止などに伴い、1971年に貨物駅を閉鎖。現在は1日の乗降人数が123人と南海が乗り入れる100駅のなかで93位だ。 沿線住民は同線をどう思っているのだろうか。再び電車に乗って西天下茶屋駅で降りた。商店街で駄菓子屋を営む村田静子さん(79)は「近くを走るバスが数年前になくなり、難波に行く時に利用する」と話す。今でも地域では足となっているようだ。 汐見橋線はどういう経緯で都会のロー
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