麒麟の像(2017年12月15日) 2011年3月3日に講談社より刊行され、2014年2月14日に講談社文庫より文庫版が発刊された。 加賀恭一郎シリーズの第9作目にあたる。家族のあり方について書いた『赤い指』と人情を描いた『新参者』の双方の要素を取り入れた作品となっている。 舞台は『新参者』と同じ日本橋。ここには五街道の起点であることから、「ここから羽ばたく」という意味を込め橋の中央に大きな翼を持った麒麟の像が設置されている[注 1]。表題の「麒麟の翼」とはこの麒麟像を示すもので、物語における重要な意味をあらわしている。 作品のテーマは「悲劇からの希望と祈り」である。 夜の日本橋 寒い夜のこと。日本橋の欄干にもたれかかる男を巡査が目撃する。男の腹にはナイフが刺さっていた。どうやら男は死にかけた状態でここまで歩いてきて、力つきたようだ。その後、男は病院で死亡してしまう。 加賀と松宮も参画して