「ドリルではなく、穴がほしいだけ」――。これはマーケティングに限らずビジネス全般に言えることだ。テクノロジーを使えば現場が自動的に改善されるわけではなく、目的がはっきりしている現場がテクノロジーを生かした時にこそ圧倒的な成果が出てくる。だから非ITベンダーの現場から出てきたITソリューションには独特の説得力がある。製造業や飲食業といった「本業」の経営・業務課題を解決するためにITソリューションを開発し、その経験・ノウハウを生かして事業領域を法人向けIT市場に拡張している非IT企業の動きを追った。彼らの変革のストーリーにはITをビジネスの手段として使い倒すためのヒントがあふれており、既存のITベンダーとは異なる独自の存在感を放っている。顧客のDXを何らかの形で支援することが必須となった現代のITビジネスの羅針盤となるか。 (取材・文/指田昌夫 編集/本多和幸) File1 旭鉄工 → i