世界中で水道水をそのまま飲めるという国は、それほど多くない。いや、日本のようにどこへ行っても安全に水が飲める国は珍しい。ましてや1年中暑い東南アジアではなおさらである。 ところが、その東南アジアで2つだけ、水道の水をそのまま飲むことができる街があるという。1つはシンガポール。そしてもう1つがASEAN(東南アジア諸国連合)の中でも発展が遅れてきたカンボジアの首都プノンペンだという。 1人当たりの国内総生産(GDP)が日本を上回る先進国となったシンガポールは当然としても、カンボジアは2014年に1080ドルしかない発展途上国である。なぜ、その国で水道水が安全に飲めるようになったのか――。 その理由は、指南役として名乗りを上げた北九州市にあった。 水道設備を作っておしまいではなく、メンテナンスやオペレーションに関しても極めて緻密にノウハウを伝授。また、まだ賄賂が当たり前の社会にあって、そういう