「普通の足跡だったとしても、そう見つかるものではありません」と、この足跡を調査している米ネバダ大学ラスベガス校の古生物学者、スティーブン・ローランド氏は述べる。「今回の場合はさらに、まるでダンスのスライドステップのように、おかしな横歩きをしていて、とても変わっているのです」 ローランド氏がこの足跡に出会ったのは偶然だった。2016年、友人の古生物学者が学生とともにグランドキャニオンでハイキングをしていたときのこと。ブライトエンジェルトレイルを歩く途中、一行は崖壁から落ちてぱっくりと割れた岩石を見つけた。 その巨岩は層に沿って見事に割れており、28個の足形が1メートル以上にもわたってあらわになっていた。友人はローランド氏と公園関係者に連絡し、作業員が岩石を脇によけておいた。2017年5月、ローランド氏は初めて足跡を見に訪れ、さらに2018年3月、米サンディエゴ州立大学の地質学者マリオ・カプー