「経済を支える制度的な構造と経済の機能に対して取引費用ならびに所有権が果たす役割の重要性を発見し、その明確化に努めた」業績を称えて1991年にノーベル経済学賞を授与されたロナルド・コース(Ronald H. Coase)が先日の9月2日に逝去されたとのこと。102歳でした。 どちらかと言えば寡作の学者だったと言えるのかもしれませんが、コースの論文はいずれも質の高い優れたものでした。「企業の本質」「社会的費用の問題」(ともに『企業・市場・法』に収録*1)は取引費用経済学(あるいは新制度学派経済学)や「法と経済学」の分野を開拓した偉業であり、自らの名前が冠された「コースの定理」*2や取引費用のアイデアは企業論や「法と経済学」の分野を超えて政治経済学等の幅広い分野にわたって応用されています(取引費用の観点から政治経済学の問題に接近している著作としては、例えばディキシット著『経済政策の政治経済学―
●David R. Henderson, “The Man Who Resisted ‘Blackboard Economics'”(Wall Street Journal, September 4, 2013) つい先日のレイバーデー(Labor Day)に102歳でこの世を去ったロナルド・コース(Ronald Coase)は20世紀に活躍した経済学者の中でも最も稀有な人物の一人であった。取引費用が現実の経済に対してどのような影響を及ぼすかをめぐって鋭い分析を展開し、その洞察に対して1991年にノーベル経済学賞を授与されている。75年の学者人生を通じて彼が執筆した重要な論文は1ダース程度しかなく、彼が論文で数学を利用することはほとんどあるいはまったくなかった。しかしながら、彼がもたらした影響は深遠なものであった。 20代前半の若かりし頃のコースは社会主義者だったが、彼は他の大半の社会主義
進歩しない人間だからこそ、歴史に意味がある ―― 「経済学史」とはなにか 経済学者・若田部昌澄氏インタビュー 情報 #経済学#教養入門#経済学史 研究室の扉を開けてみると、そこは本の山、山、山。今回の「高校生のための教養入門」は経済学者の若田部昌澄先生に、ご専門の経済学史についてお話を伺いました。「経済学史は地味な学問です」と言い切る若田部先生。思想史の中でも独特の発展をとげた経済学史の魅力をご紹介します。(聞き手・構成/山本菜々子) ―― 今回の「高校生のための教養入門」は、「経済学史」の若田部昌澄先生にお話をうかがいます。今日はよろしくお願いします! よろしくお願いします。経済学史は非常に地味な学問なので、高校生に向けての企画なんて聞いたことがないですよ(笑)。 ―― 地味な学問なんですか!? 私の学生時代はそれなりに人気だったのですが、最近の経済学の中ではあんまりポピュラーじゃありま
松尾匡のページ13年9月13日 オリンピック百兆円の効果はマズい+『POSSE』のリフレ批判記事について 先日、出かけようとしたら、鍵束が見当たらないのであせりました。家の鍵も研究室の鍵もみんないっしょにしてあるやつ。 結局見つからないまま、翌日教授会で出校したのですけど、立命館は合鍵とか貸してくれないんです。研究室は一回一回警備員さんに来てもらって開け閉めしないといけない。宿舎に一泊したので、翌日もわざわざ警備員さんに開け閉めのやっかいをかけることになります。 帰宅してまた探しても見つからないし、仕方ないから、大学の「キャンパス管理課」に電話かけて必要な手続きを尋ねたら、学部の事務室を通じて、始末書めいたものといっしょに届け出てほしいとのこと。ドアノブごと取り替えることになり、工事ができるまでの間は結構やっかいが続くということでした。 めんどうなことになったと落ち込んでいたら、午後になっ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く