日銀が短観(全国企業短期経済観測調査)で新しく設定した「企業の物価上昇見通し」で、1年後に平均1・5%となったことについて、「日銀の目標である2%に届かない」など否定的なニュアンスの報道や市場関係者のコメントが見受けられる。 黒田東彦(はるひこ)総裁体制スタート前の昨年3月の消費者物価指数上昇率(総合、対前年同月比)はマイナス0・9%だった。6月にはプラス0・2%とマイナス圏を脱出し、今年2月にはプラス1・5%と、1年間で2ポイント以上改善した。 こうしてみると、着実にデフレ脱却に向かっているのだが、多くの人は、半径1メートルの身の回りの価格しか体感できず、すべてのモノ・サービスをカバーする消費者物価といわれてもピンとこないのかもしれない。 前回の本コラムでも書いたが、短観の調査対象となる企業の担当者にとって、消費者物価指数をイメージして物価上昇見通しを書けといわれても難しかったので、今の