ロックとはなんだったのか? 情熱的に語られがちなロックを、冷静に、理性的に、「縁側で渋茶をすするお爺さんのように」語る連作エッセイ。ロックの時代が終わったいま、ロックの正体が明かされる!? 英国の批評家であり、ロックの評論でも知られたマーク・フィッシャーの『資本主義リアリズム』は哀しい本である。フィッシャーはフレドリック・ジェイムソンとスラヴォイ・ジジェクの言葉として「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像するほうがたやすい」というフレーズを紹介する。言いたいことはわからなくはない。ただしここには一つ大きな誤謬があってですね、人類は、それこそヨハネ黙示録あたりからずっと色んなパターンの世界の終わりを想像し続けてきたのである。世界の終末を描いたエンタメは星の数ほどある。日本だと『デビルマン』とかですね。人類が滅亡した未来を舞台にした『猿の惑星』がカウンターカルチャー真っ盛りの1968年の作