岸田文雄政権がどのような政権だったのか、その権力の本質について総括したい。「気が早い」と思われるかもしれないが、「ミネルヴァの梟(ふくろう)は黄昏(たそがれ)時に飛ぶ」(ヘーゲル)。一部報道によれば、岸田氏は政権運営の意欲を失いつつあるという。 この見方を裏づける証拠はないものの、政権が何を目指すのかについて、首相のリーダーシップが機能している気配はなく、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の癒着問題についても、国民を納得させるような説明もできていなければ、本質的な解決策を打ち出すこともできていない。つまりは機能不全に陥っている。 してみれば、仮に岸田政権が今後もしばらく継続するとしても、そこに現れている権力の構造に変化は起きないであろう。岸田氏には何の意思もないまま、現在と同様の状況がダラダラと続く、という成り行きが想像可能である。いま重要なのは、その権力構造の実態をつかむことであ