長時間労働を課して残業代を支払わない、暴言やパワハラを繰り返して退社に追い込む…。そんな過酷な労働を強いる「ブラック企業」が問題化している。入社後、心身のバランスを崩して職場から長期離脱するケースも少なくない。若者の早期離職の一因とも言われるが、労働実態を就職前に見抜くのは至難の業だ。一方で、ブラック企業のレッテルを貼られてしまいダメージを受ける企業も出ている。(三宅陽子) ■何が悪かったのか… 「とにかく辞めてくれ」 20代後半を迎え、ようやく関東の食品系企業の営業職となった木村武さん=仮名=は今年始め、上司の言葉に耳を疑った。 勤め始めて約10カ月。実務はほとんど教えてもらえず、見よう見まねで覚えてきたが、向けられるのは「言われたことがすぐできない」などの説教ばかり。 毎朝早朝に出勤し、帰宅は終電ギリギリ。睡眠時間は4〜5時間。それでも頑張ろうと思っていた中での突然の解雇宣告