違法残業事件が電通から三菱電機へ波及した。安倍政権は「働き方改革」に一段と強い姿勢を見せる。企業は自社が「次の現場」になることに戦々恐々だ。 いまや「モーレツ社員」的文化は企業にとって深刻なイメージダウンにつながりかねない。記録的な人手不足の中、いったんブラック企業のレッテルが貼られれば就職活動の学生たちから敬遠され、のちのちまで採用活動に影響が及ぶ。 経済界は軒並み改革に賛同の姿勢を見せている。財界の新年祝賀会。「根性で働く時代ではない」(サントリーホールディングスの新浪剛史社長)など、政権の取り組みを支持する声が目立った。 一方、現場からは「業務上、避けられない事情で特定の部署が忙しくなる時期はある」(電機大手中堅幹部)。経営者にも、労使協定(三六協定)の在り方を見直すことには「(研究開発など)グローバル競争を勝ち抜く使命を持ったセクションには合わない」(経済同友会の小林喜光代表幹事)