「年間生産台数400万台」が世界に生き残る自動車メーカーの条件。スズキは その半分の200万台。にもかかわらず快進撃を続ける。その秘密は何か。 スズキは不思議な会社だ。世界の自動車工業では年間400万台を生産している企業でなければ、生き残れないといわれているが、スズキの国内・海外における総生産台数は200万台にしか達していない。それにも拘わらず、90年代から昨年にかけて世界の自動車市場でマーケットシェアを高めた日本の企業は、ホンダのほかにスズキしかない。スズキはこの深刻な不況の中で3年連続の増収増益であり、株価は自動車業界では、ホンダ、トヨタに次いで高く、他のメーカーを遙かに引き離している。自動車業界でも小回りがきく経営を巧みに展開した企業は、「小規模でも成功する」という好例を示した。 振り返ってみると、スズキの経営戦略は「神懸かりのように」当たりに当たっている。78年の排ガス規制