国内唯一のPHS事業者であるウィルコムの再建が迷走している。銀行や出資者の思惑に振り回されて法的整理に追い込まれたウィルコム。今度は、支援に乗り出した半官半民の企業再生支援機構とソフトバンク、アドバンテッジ・パートナーズ(AP)の三者の思惑が複雑にからみ合い、再出発もままならない状況になっている。上場頓挫で歯車狂う 「上場していれば、もっと違う状況になっていたかもしれない」 ウィルコムの久保田幸雄社長は更生法適用申請後の会見で、こう悔やんだ。 ウィルコムが負債総額2060億円という通信事業者としては過去最大の破綻に追い込まれたのは、「利害関係者に翻弄された結果」といわれている。 DDIポケットが前身のウィルコムは平成16年10月に、米投資ファンドのカーライル・グループと京セラが、親会社のKDDIから株式の81%を買い取り発足した。 当時、画期的だった通話の定額料金制を導入するなどで発足から