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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/foreignpolicy (13)

  • ベラルーシKGBの怪しいテロ捜査

    旧ソ連の独裁国家ベラルーシの首都ミンスクで11日、死者12人を出した地下鉄爆破テロに対するKGB──そう、ベラルーシは未だにこの名称を使っている──の対応を見ていると、犯人が公正に裁かれるとはとても思えない。米政府が宣伝目的で運営する自由欧州放送(RFE)は次のほうに報じている。 ベラルーシと捜査協力しているロシア連邦保安庁(FSB)のウラジーミル・ルツェンコ大佐は、罪のない一般市民を狙ったイスラム国際組織のテロであることを「100%」確信している、と語った。 「連中は平和な町で罪のない女や子供を殺し、皆を震え上がらせ、傷つける」と、ルツェンコは言う。「イラクやパキスタンではモスクを爆破し、モスクワではアパートを、アメリカでは超高層ビルを爆破する」 爆破テロの背後にはベラルーシ当局かまとまりのない反政府勢力がいるという憶測については、「馬鹿げている」と否定した。 「モスクワのテロでも同じこ

  • フェースブックから犬より下に扱われた安替

    中国人ジャーナリストで政治ブロガーの安替(マイケル・アンティ)は1月、フェースブックのアカウントを閉鎖された。同社の担当者が安替に語ったその理由とは、「フェースブックは偽名を認めない方針を徹底している。アカウントを再開したければ、ペンネームのマイケル・アンティではなく、中国名のチャオ・チンを使わなくてはならない」。 その直後、安替は知ってしまった。フェースブックの創業者マーク・ザッカーバーグが最近飼い始めたハンガリアン・シープドッグの子犬「ビースト」が、フェースブック上にプロフィールのページを開設したことを。カンカンになるのも無理はない。以下はAP通信の記事から。 ケンブリッジ大学とハーバード大学の両方からジャーナリズムの奨学金を受けたこともある安替が、フェースブックにアカウントを作ったのは07年のこと。そのアカウントが使えなくなって、彼を安替として知る1000人以上の学者や専門家との連絡

  • リビア争乱で小国マルタが大活躍

    地中海に浮かぶ小さな島国マルタが、地理的なリビアへの近さから、各国が自国民をリビアから避難させる際の輸送拠点になっている(リビアの首都トリポリは東部の主要都市ベンガジよりマルタの方が近い)。インド、ロシア中国、フィリピンなどの国々がチャーター機やフェリーを使って、混乱が増すトリポリから自国民を脱出させている。マルタ自体もチャーター機でエジプト人900人をリビアから出国させた。 人口41万のマルタを経由してリビアから逃れた外国人労働者は、この1週間で1万2000人にも上る。マルタは国際的な人道援助の中継地としても各国に協力している。 亡命受け入れで反カダフィ路線へ マルタは、できれば中立の立場を守りたかっただろう。親アラブ外交を掲げたドム・ミントフ元大統領の時代から、マルタはリビアのカダフィ政権と長く良好な関係を維持してきた(ミントフは08年、カダフィ国際人権賞を受賞した)。マルタは昨年、

  • 逃げ場を失うリビアのアフリカ系移民

    リビア国内の動乱がどれだけ悪化しているか、国境を見ればよく分かる。何十万人という人々がすでに国外へ逃れ、さらに30万人がその途上にいるとみられる。「まるで旧約聖書の『出エジプト記』だ」と、イタリアのフランコ・フラティニ外相は語っている。国際赤十字の地域代表は、チュニジアとの国境で今日新たに1万人が避難してくる事態に備えていると、BBCの取材に答えている。 避難しているのはリビア人だけではない。リビアには150万人の移民が暮らしている。国際移住機関(IOM)の推定によれば、その多くはサブサハラ(アフリカ大陸でサハラ砂漠よりも南の地域)の出身者だ。リビアは、ソマリアやエリトリア、チャドなどから約8000人の難民を受け入れている。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、こうした移民のコミュニティーと「接触できない」状態にあると憂慮する声明を出している。実際、難民は危険な状態にあるかもしれない

  • 紛争チョコは甘くない

    バレンタインデー反対派はいつも、大企業が悪魔のマーケティングで恋人たちを盛り上げるせいで、シングルたちがどれだけ肩身の狭い思いをしているか不平を言う。だが、バレンタインには世界的な影響もある。 最高にロマンチックな贈り物だったダイヤモンドは、一部の産地では不幸にも殺し合いを招く紛争ダイヤになってしまった。バレンタインのチョコレートが世界のカカオ産地に与える影響も小さくない。 チョコレートの原料となるカカオ豆の問題は、世界最大の生産国コートジボワールで政情混乱が続く今年はとりわけ重要だ。NGOのAvaazは、ハーシー、ネスレ、キャドバリーなどのチョコメーカーやカーギルなどの穀物メジャーにコートジボワールのカカオをボイコットするよう呼びかけている。昨年11月28日の大統領選で敗北した後も、大統領の座に居座り続けているローラン・バグボの資金源になるからだ。 国際的にも認められた大統領選の勝者、ア

  • ムバラク最後の親友は金正日

    アメリカからトルコにいたるまで、かつてエジプトのホスニ・ムバラク大統領の盟友だった国々が彼を見捨てようとしている。キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長ですら、ムバラクは政権を去る時が来たと語った。そんななかある遠い国で、ムバラク支持を断固として堅持しているリーダーが1人いる。 北朝鮮の金正日総書記はムバラク大統領に新年のメッセージを送ったと、朝鮮中央通信は先週末に報じた。これは40年にわたる両国の親密な軍事的・経済的つながりを裏付けるものだ。カイロでムバラク政権に対する激しい抗議運動が巻き起こるなか、金は南北朝鮮中国、ベトナムなどで先週祝われた旧正月の機会に、ムバラクに挨拶状を送った。 このメッセージは、北朝鮮の数十年にわたるエジプト支援を物語るものだととらえられている。 北朝鮮は長年の間、エジプト人パイロットを養成し、ミサイルをエジプトに売り、エジプトにミサイル製造技術を提供し

  • ムバラク支持派は政府の「刺客」?

    エジプトの首都カイロにいる米人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのジョー・ストークは電話取材で、今回の抗議デモをめぐるアメリカでの報道に懸念を示した。報道では、デモの最中に発生した衝突は反政府派と政府支持派による「市民同士の対立」とされていた。つまり、国家の未来について異なるビジョンを持つ2つの勢力の衝突ということだ。 しかしストークによれば、衝突の裏にはまったく別の要因が潜んでいたらしい。 「これらは派閥の対立ではなく、『ブラウンシャツ作戦』と呼ばれるものだ。ナイフや石、棒で武装した『政府の刺客』がデモ隊の中に送り込まれたのだ。彼らが報酬をもらっているかどうかは重要ではない。あくまで平和的な手段で民主化を訴える活動家を襲うことが、彼らの目的だ」 この説にどれだけ信憑性があるか尋ねると、ストークはいくつか証拠を示した。2月2日の朝、彼は衝突が起きたタハリール広場にいたという。 彼が現場

  • ムバラクが犯した9つのミス

    何十万人もの怒れる群集からその30年にわたる独裁を糾弾されるなか、エジプトのホスニ・ムバラク大統領の口から発せられたのは謝罪とは程遠いものだった。2月1日夜、国営テレビに姿を現したムバラクは悪びれた様子もなく、ただ大統領として6期目は目指さない、国内の安定と治安を守ると誓っただけだった。 さらに自らの実績を弁護し、「エジプトの土の上で死ぬ」と語り、チュニジアのジン・アビディン・ベンアリ大統領のように国外逃亡するつもりはないことを示唆した。 カイロ中心部のタハリール広場に集まったデモ隊は直ちに、あらためてムバラクの追放を要求。まだ向こう数カ月間も大統領の座に居座ろうとするムバラクを強く拒んだ。 ムバラクはこのテレビ演説でまたしてもミスを犯したようだ。こうした間違いが重なり、彼はベンアリと同じ運命をたどることになるだろう。ムバラクはこれまでにどんな大きな間違いを犯してきたのか。 1)富の分配を

  • エジプトの次は中国、にはならない理由

    よくできた構造 中国でも抗議デモは起きるが、怒りの矛先は政府に向かない (2010年10月、湖北省武漢市で起きた反日デモ)Reuters チュニジア、エジプトと中東諸国では反政府デモと騒乱の嵐が吹き荒れているが、同じような事態が中国に飛び火する可能性はあるか? 端的に言って、可能性はほとんどなさそうだ。理由は2つある。 1つ目は、中国は一党独裁体制ではあるが、国民1人当たりの所得や商品・サービスの購買力、教育の機会など、暮らしの豊かさを示すデータは総じてよくなっている。腐敗した役人やばかげた法律、不公平な政策に対する皮肉や(個人的な)不満を口にしつつも、中国の人々は前進しようと必死だ。そして実際に多くの人が成果を上げている。 先行きが不透明な不動産市場や欠陥だらけの医療システムに対するストレスはあるが、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席を非難したりはしない(むしろ怒りは地方政府に向けられる)

  • 力に目覚めた無関心なエジプト人

    どこがノンポリ? ムバラク退陣を要求して警官隊と衝突したデモ隊(1月25日、カイロ) Asmaa Waguih-Reuters ここ数時間、エジプトで拡大する反政府デモの様子を知るためにツイッターに釘付けになっている。今回のデモはエジプトの祝日「警察の日」に合わせてかなり前から計画されていた。「警察の日」はもともと、1952年に駐留イギリス軍に対して立ち上がったイスマイリアの警官たちを称える日。だが近年は強権体質の警察が煙たがられていることもあって、ホスニ・ムバラク政権のさまざまな欠点を象徴する日になっている。 今年はチュニジアの革命に感化された人々がフェースブックを使って、これを「怒りの日」にしょうと呼びかけた。彼らは、アレクサンドリアの若者ハリド・サイドが警官に激しい拷問を受けて殺害された昨年の事件にも怒りをみせる。 彼らの抗議計画は予想以上の成果を収めている。デモは西はギザのドッキ、

  • 胡錦濤は本当に改心したのか?

    世界が苦笑い ホワイトハウスの会見でアメリカ人記者から人権問題について突っ込まれた胡錦濤(12月19日) Jim Young-Reuters 先日のバラク・オバマ米大統領と中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席の地味な(もっと言えばさえない)共同記者会見で最も興味深かったのは、ブルームバーグの記者が胡に人権に関する別の記者からの質問に答えるよう強く求めた瞬間だ。 胡は通訳を非難し、質問が聞こえなかったと主張した(記者団からはあからさまな笑いが漏れた)。そして胡は「......私たちは常に人権を尊重している(そして改善に取り組んでいる)。中国は途上国として他に類のない状況に直面している......われわれは対話を望んでいる...」と、人権問題に関する中国のお決まりの回答を披露した。 胡は「中国は人権の普遍性を認め尊重している」とも語った。ニューヨーク・タイムズのマイケル・ワインズ記者はこの発

  • 中国との「不平等条約」に屈したGE

    どこが互恵? 胡錦濤の訪米に合わせて大型商談の進展が発表されたが(1月19日) Kevin Lamarque-Reuters 1月18日にワシントン入りした胡錦濤(フー・チンタオ)中国国家主席の到着に合わせるように、米中間で大型商談が成立間近であることが発表された。米ゼネラル・エレクトリック(GE)が中国の国有航空機メーカー、中国航空工業集団公司(AVIC)と合弁事業を立ち上げ、高性能な航空電子工学機器を中国の民間航空機メーカーなどに販売する計画だという。 米中双方の財界にメリットがあるこの契約が、課題山積の米中貿易の潤滑油として仕組まれたのは間違いない。ただし実際は、この発表は、両国間に横たわる深い溝を浮き彫りにしている。 GEのジェフリー・イメルトCEO兼会長は1年ほど前、オフレコだと思って臨んだある会合で、中国はビジネスをするには悲惨な場所だと発言。中国はGEの技術を吸い上げることに

  • 小国からも領土を分捕る中国の膨張主義

    中央アジアのタジキスタンが隣接する領土の一部を中国に引き渡すことで合意した。ワシントン・ポスト紙は以下のように伝えている。 タジキスタン議会は12日、ほとんど住民が暮らしていないパミール高原の土地約1000平方キロを放棄すると議決した。この土地に何人が暮らしているか、現時点で情報はない。 野党・イスラム復興党のムヒッディーン・カビリ党首は、領土の放棄は違憲でタジキスタン外交的敗北を意味していると非難した。しかしハムラーファン・ザリフィ外相に言わせれば、今回の決定はタジキスタン側の勝利だ。なぜなら中国が当初は2万8000平方キロ以上の領有権を主張していたからだ。 この領土問題は、タジキスタンが帝政ロシアの一部だった19世紀にまでさかのぼる。 広大な国土の中国が、67分の1の大きさのタジキスタンと領土争いをするのは了見が小さいように思えるが、小さな土地でもその意味は大きい。パミール高原はアフガ

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