コントラバスは倍音が豊かでハーモニクスが良く響くので、近現代の曲ではしばしば効果的に用いられます。しかし、普段あまり見慣れない音符であるため、混乱してしまうことも少なくありません。ここで、記譜と実音の関係を整理しておきましょう。 ハーモニクスの基本 弦楽器のハーモニクス(harmonics、またはフラジオレット flageolet)は、弦の一点に軽く触れて弾くことで、基音(弦の長さ分の振動)を抑えて倍音のみを響かせる奏法です。倍音の振動の節となるポイント、すなわち弦長の1/2、1/3、1/4…の位置に触れて演奏します。高い音が出せるだけでなく、指を触れたところが振動の腹となる倍音の響きが抑制されるため、透明感のある特殊な響きが得られます。 バイオリンなどでは、あらかじめ1の指で弦を押さえてから別の指で節点に触れる人工ハーモニクスも用いられますが、コントラバスでは(普通は)開放弦を使った自然