中国の台頭とともに日本人の韓国観が微妙に変わり始めた。朝鮮半島専門家の一部は「韓国は中国に身を寄せ、日本に敵対的になるだろう。距離を置くべきだ」と警戒する。一方で「そうならないように韓国を味方につけておく必要がある」との反論もある。こうした議論は、今は理念論争に見える。だが、いずれ現実の選択肢となるだろう。ことに、北朝鮮が揺らぎ、半島の構図が激変する際には。 統一韓国の立ち位置 前回のコラムで、10年ほど前まで中国のアジア専門家は日本人に会うごとに「朝鮮半島の現状維持こそが日中両国の利益」と強調していたと書いた(「新・行文知照?――『金日正後』の米中」=2009年2月23日参照)。 これに対し、日本のアジア専門家の中には「半島が統一されても日本は別段、困らない」とはっきりと答える人もいた。統一されるならそれは韓国主導であり、米国・日本側にとっては「自分たちの勢力圏」が広がることを意味