重慶大厦=チョンキンマンションをご存じだろうか?知る人ぞ知る香港の九龍・尖沙咀地区にある個人住宅がメインの複合ビルで、香港の魔窟と呼ばれることもある。ウィキペディアによると、そこには、南アジア・中東・アフリカなど、さまざまな国の出身者によるコミュニティーがあるらしい。そして、香港在住のタンザニア人たちも、夜な夜な何をするともなく集まってくる。 チョンキンマンションのボス、といってもオーナーなどではない。この本は、自らがチョンキンマンションのボスと名乗るタンザニア人・カラマをめぐるノンフィクション、文化人類学者・小川さやかによる密着取材ドキュメントである。 カラマは、月に2万4千米ドルも稼ぐことのある凄腕ビジネスマンだ。しかし、稼げない月もある。そんな時でも、おだてられると見知らぬ若者にまで気前よく奢ってしまい、生活費を借りるはめになる。 おしゃれ好きで、次々と新しい服を買うが、着た後は洗濯