今年初め、関東地方にある東芝の工場に勤務する関連会社従業員のAさんは、GMPと呼ばれる東芝本社の幹部社員に集まるよう言われた。集まった従業員を前に、幹部社員が一枚のポスターを指さした。オレンジ色の文字で、こう書かれていた。 「いま、東芝を変えていく。7つの心がけ」 一つずつ、幹部が読みあげていく。だがその中身を見て、Aさんは首をかしげた。 「3.建前をなくそう。本気で伝えよう」「4.議論をするときは全員平等だ」 この時の気持ちを、Aさんはこう振り返る。 「正直『こいつ何を言ってんの』って感じでした。議論せず、建前ばかりで話すから不正会計が生まれたんじゃないか」 しわ寄せはいつも現場にくる。不正会計問題を契機に東芝は大規模なリストラを敢行。1万4450人が影響を受け、うち3449人が早期退職に応じた。その結果、昨年3月末時点の東芝グループ全体の従業員数は前年比で約1万5千人減った