著者の見解に賛成するかはともかく、よく書けた素晴らしい本だ。現在の経済的な問題を資本主義と民主主義の対立として捉える。ただ利益を追い求めるだけの企業がよく批判にさらされるが、著者に言えばそれは企業の正しい姿。現代的な資本主義、超資本主義supercapitalismの正しい姿だ。資本主義に民主主義を持ち込む考えが間違っているのだ。「資本主義を民主主義から分離し、両者間の境界線を守る必要がある」(p.228)。私たちは資本主義において投資家・消費者としての利益を追求する一方で、民主主義において市民としての公益を追求する。通常、投資家・消費者としての利益が優ってしまう。だがそれによる市民としての公益の損害は見合っているのか?問題はこの二つのバランスをどう取るかであり、それはまだ分かっていることではない(p.121)。 現代との対照で提示されるのは(擬似)黄金時代である。ここでは資本主義と民主主