平成の三〇年は「壮大な失敗」だった.「失敗」を全分野で総括することからしか展望は描けない.経済,政治,社会,文化で果たして何がおきたのか.社会学者吉見俊哉が「ポスト戦後社会」の先の空虚な現実を総括する. はじめに 「平成」という失敗――「失われた三〇年」とは何か 失敗の博物館/「平成」という失敗/政治の挫折と回復なき少子化/「昭和」の反転/四つのショック/世界史のなかの「平成」 第1章 没落する企業国家――銀行の失敗 家電の失敗 崖っぷちで驕る日本/二年半,遅れた利上げ/日本丸,横倒しになる/山一證券「自主廃業」の衝撃/山一證券破綻に至る昭和史/半導体市場での日本の惨敗/「家電」の呪縛と神話の終わり/東芝の失敗を検証する/ゴーン神話にすがった日本社会 第2章 ポスト戦後政治の幻滅――「改革」というポピュリズム バブルのなかの液状化――リクルート事件/政治劇場の仕組みを変える――小選挙区制導