先月、中国でアステラス製薬の日本人社員が反スパイ法違反容疑などで拘束されたと各紙が報じた。容疑の詳細は判然としないが、在中日本人のリスクが高まっていることは確かだろう。中国政府が反スパイ法を制定した2014年11月以降、今回を含め17人の日本人が拘束され、1人が獄死、11人が刑期を終えるなどして帰国したものの、まだ5人が拘束もしくは当局監視下にあるとされる。 同法によると、スパイの要件は外国勢力による中国政府の機密入手、もしくは中国人に対する教唆(そそのかし)などであるが、項目の中には「その他スパイ活動」という曖昧な言葉で書かれている箇所もあるので、恣意(しい)的な運用も可能である。そうなると中国で活動する外国人は、常にスパイの嫌疑をかけられる恐れがあり、日常生活でも細心の注意が求められる。 ただし欧米諸国では中国同様に反スパイ法のような法律を定めており、いざとなれば自国民を取り返す手段は