前章ではeBPFについて学びました。本章では、ユーザーから渡されたBPFプログラムを安全かつ高速に動かすための、検証器とJITについて説明します。 検証器 まずは、eBPFの検証器について学びましょう。検証器のソースコードはLinuxカーネルのkernel/bpf/verifier.cに書かれています。。 検証器は命令を1つずつチェックし、すべての分岐先をexit命令までトレースします。検証は大きく二段階(First Pass, Second Pass)に分けられます。 一段階目のチェックでは、深さ優先探索によってプログラムが有向非巡回グラフ(DAG; Directed Acyclic Graph)であることを保証します。DAGとはループを持たない有向グラフのことです。 このチェックにより、次のようなプログラムは拒否されます。 BPF_MAXINSNSを超える命令が存在する場合[1] ルー