1万円を盗んだといわれのない嫌疑をかけられ、無実を主張したら1年間近くも拘束されたミュージシャンが、今も理不尽な捜査に損害賠償を求め闘っている。 事件があったのは5年前の2012年6月。大阪府泉大津市のコンビニで客を装ったレインコート姿の男がレジから1万円を奪い逃走した。その2カ月後、近くに住む土井佑輔さん(26)が窃盗容疑で逮捕された。 逮捕の決め手となったのはコンビニの自動ドアから検出された指紋が土井さんのものと一致したためだった。素行が悪かった10代の時に警察で採取された指紋が一致したのだ。 しかし、その後は真面目な生活を送り、事件には全く無関係だった土井さんは「すぐ帰してもらえるぐらいの感覚だった」と話す。ところが先入観を持った警察の捜査は違った。犯人と決め付けられ、激しく自白を強要され、「恐喝に近いような取り調べが続いた」という。 その時に土井さんが取調官の言葉を書き留めておいた