彼女は四十一歳になった。彼女はカメラマンで、ふたりの後輩を指導しながら、現場でカメラを回している。回すというのは動画を撮るときの表現で、静止画のカメラマンのことはよくわからない、と彼女はいう。 職業的にカメラを回すというのはどういう種類の経験なのか、私は尋ねる。現場に行く前はなにをするのか。どんな人たちと一緒に、どんな準備をするのか。判断しなければならないことはなにか。それによってなにが影響されるのか。 彼女はそのいちいちに答えながら、それらのプロセスで自分が感じることをいきいきと語る。短時間での判断を要求されることが多く、それに自信を持てるようになったら一人前だということ。でも勉強すれば正解が出るわけではないので、「ほんとうはわからないのに断定する詐欺師みたいな度胸」が必要だということ。機材を扱うためには、腕や脚だけでなく、背筋を上手に使わなければならないこと。 ファインダにうつる映像は