みなさんは「酸蝕歯(さんしょくし)」という言葉を聞いたことはありますか。むし歯菌の出す酸が歯を溶かす、ということはよく知られています。では、むし歯菌がなくても、身近で口にしている酸の食べ物や飲み物が歯を溶かす、ということはご存知ですか?今回は、むし歯・歯周病に継ぐ第3の口腔疾患のひとつとして世界的に注目され、増加しつつある酸蝕歯について知っていただきたいと思います。 酸蝕とは、文字通り酸により蝕まれる状態のことをいい、その状態になった歯を酸蝕歯といいます。通常人の歯は、歯のミネラル成分が溶け出す「脱灰」と、唾液に含まれるカルシウムなどがそれを修復する「再石灰化」を繰り返しています。飲食物に含まれる酸が脱灰を起こし、再石灰のサイクルのバランスが崩れミネラル分が溶け出した状態が続くのが酸蝕歯のしくみです。酸の影響を過剰に受けることにより、酸が歯の表層のエナメル質を溶かしだし、やがて歯のつやが消