黒い法服に真珠のネックレスを着けたルーシー・コー判事(43歳)は、米連邦地方裁判所の判事らしく、厳粛で思慮深い雰囲気を持っている。カリフォルニア州裁判官を務める米ハーバード大学卒の元連邦検事は、シリコンバレーの法律事務所のパートナーとして技術特許に関する訴訟を手がけた経験を持つ。真面目な彼女だったが、2011年6月にサンノゼで開かれた審理では、目の前で小競り合いを繰り広げる弁護士たちをからかわずにはいられなかった。 「前回あなた方がここに来た時、確か取引関係があると言っていましたね。具体的な数字は忘れてしまいましたが、800万ドル(約6億4000万円)でしたか。それとも80億ドル(約6400億円)でしたか」とコー判事は尋ねた。 ハロルド・マケルヒニー弁護士が「70億ドル(約5600億円)を超えていたと思います」と答えた。これは、同弁護士のクライアントである米アップルが、この裁判の相手である
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