あらゆる天候の変化をコンピューターグラフィックス(CG)でシミュレーション・再現して画面に映し出し、GPS(全地球測位システム)を活用して外洋を航行する無人の大型船の位置を把握することで陸の上から的確に操舵する――。実現はまだ先だが、日本の造船技術はいつかその高みにたどり着くかもしれない。そんな期待を抱かせる最先端の船舶技術を研究する施設が、海から遠く離れた東京都昭島市にある。三井造船の昭島研究所だ。 三井造船といえば、2013年6月に破談となった川崎重工業との“幻”の経営統合が話題となった。規模の大小を問わず、国内造船業のM&A(合併・買収)は急務とされている。中国や韓国の攻勢を受けて国内の造船業は世界市場でシェアを激減させ、構造的な不況業種に追いやられている。今年5月には建造量ベースで国内4位の名村造船所が、同10位の佐世保重工業と統合すると発表した。名村造船の名村健介社長は「1社だけ