米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐる国と沖縄県の対立に、司法が下した初めての判断は、辺野古移設が「唯一の解決策」とする国の姿勢にそっくり重なるものだった。翁長雄志(おながたけし)知事は徹底抗戦の構えを崩す気配はなく、国と沖縄県との深い溝は広がったままだ。 「これまで地方自治や民主主義を守ろうと話してきたが、三権分立という意味でも大きな禍根を残すのではないか」。福岡高裁那覇支部の判決後に会見した翁長氏は、用意したコメントを読み上げる前に、感情を押し殺すように話した。「あぜん」という言葉を何度も繰り返し、上告期限の23日までに「上告する」と明言した。 県庁内でも、敗訴自体への覚悟はあった。埋め立て承認はそもそも県自身が認めたもの。知事が代わったとはいえ、県自らが「あの承認は誤りだった」として取り消すことが認められるには「ハードルは低くない」(県幹部)との受け止めが主