大島成己の「haptic green」は、焦点距離を変えながら撮影された数百枚の部分写真をつなぎ合わせて1枚の風景に仕立てたコラージュである。ここで、参照点として鈴木理策を召喚しよう。彼の「サント・ヴィクトワール山」「SAKURA」の連作もまた、対象に「見入る」こと、すなわち「奥行き」という知覚空間の創出について、そして透明なレイヤーに基づく写真というメディアが、その空間をどのように表現できるのかという実験だからである(*1)。鈴木理策の桜花は「haptic pink」だろうか? Mont Sainte-Victoire NZP-10 2001 Type C print, 40.7×50.8 cm Courtesy of Gallery Koyanagi 鈴木理策「サント・ヴィクトワール山」連作より SAKURA N-19 2002 Type C print, 120×155 cm Cou