酒を飲むのは楽しい。しかし楽しい時間はいつか終わってしまう。 昨夜の酒が実に楽しく、杯数をつい重ねてしまった分だけしっぺ返しがくる。これが錬金術における等価交換、もしくは大宇宙における質量保存の法則だ。 まれにこの法則をまったく無視できる方もいるらしい。羨ましい限りだ。あやかりたい。 しかし私はそのような恵まれた体質に生まれなかったのに酒が大好きという性質で、これまでに何回も失敗をしたり、次の日に倒れ伏したまま使い物にならない状態になったりしている。 そんな時には二度と酒など飲むまいと思うのだが、まあ3日持てばいいほうである。 そして、いつしか私は酒と上手に付き合いたいと思うようになった。 私がそう思い始めたのは実に30代半ばに差し掛かった頃であった。 自分の過去の悪行の数々を振り返りつつ欲を言えば20代でそう思ってほしかったと頭を抱えるが、過ぎてしまった時間はどうにもならない。 私もまだ