「吉武先生」。筆者はU−17日本代表の吉武博文監督のことをこう呼んでいる。理由は、吉武監督のインタビューや日々のコメントを聞いていると、サッカーの指導者としての側面はもちろん、教育者としての側面が多く見られるからだ。サッカーのことだけではなく、日本の文化、風習、子供たちの家庭環境までに話を広げながら、サッカーについて語り出す。そして、その言葉1つひとつに考えさせる要素を含み、時にはジョークを、時には婉曲表現を交えながら話すさまに、こちらは授業を受けている感覚を覚えるときがある。 それもそのはずで、吉武監督は昔、地元の大分県で中学校の教師として、教壇に立っていた。だが、そのイチ教師に過ぎなかった彼が、アンダー世代とは言え、なぜ日本代表の監督に登り詰めたのか。そして、なぜ自らの信念を前面に打ち出したサッカーで、2大会連続のU−17ワールドカップ(W杯)出場と、2大会連続の決勝トーナメント進出を
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