《先生、ドラえもんには必ず、しずかちゃんの入浴シーンが出てくるけど、先生はスケベなの?》 「ドラえもん」の作者・藤子・F・不二雄(藤本弘)にあるとき、こんな質問がぶつけられたことがあった。それは、「大人だけのドラえもんオールナイト」というイベントでのこと。 このイベントは毎年春のドラえもん映画の新作の公開にあわせて、過去の作品をいくつか朝まで上映するというもので、1985年より始まった。藤本はそこで原作者としてあいさつに立っていた。 観客はもちろん18歳以上ばかりで、小中学生はいない。集まったなかにはスーツ姿の人やオタクっぽい人もいたものの、それ以上に革ジャンを羽織り、腰から鎖をジャラジャラさせた柄の悪い連中が目についたらしい。先の質問は、あいさつが終わったとき、ふいに客席から飛び出したものだった。それに対し藤本は笑いながら、こう切り返したという。 《君たちと同じです》 それからしばらく観
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